Wednesday, November 23, 2011

若き日の日記(昭和二十四年) 池田大作



 五月三十一日(火) 小雨  

人生には、あまりにも仮面者が多い。真実を尊しとしてゆかねばならなぬ、特に青年は、一生、真実を追求しゆく人は、偉大なる人だ。  
戸田先生の会社に、お世話になって、早、半年。実に、波乱激流の月日であった。あらゆる苦悩に莞爾と精進しゆくのみ。生涯の師匠、、否、永遠の師のもとに、大曙光を目指し、信念を忘却せず前進せん。  
少年雑誌『冒険少年』七月号でき上がる。自分の処女作となる。純情なる少年を相手に、文化の先端を進む、編集を、自分の親友と思い、恋人の如く思うて、力の限り、向上発展をさせよう。 「今日の使命を果たすべし」これ、将来に光あらしぬる所以なり。  
帰りに、新橋にて、映画を鑑賞。七時、起床。十二時、就床。  
若人は、豊かな心を、作り上げねばならなぬ。寛大な生命を、持たねばならぬ、信心にて。

 六月四日 (水) 雨

 今日も雨、寒いぐらいだ。
『冒険少年』八月号の割り付けも大体終る。ほっと一息だ。八月号こそ、大発展させねばならぬ。
「仏法は勝負なり」正しき、社会観をもつた、日本正月館が、他社に負けてはならぬ。

 
 仕事上、多くの画家、作家と会う。先生々々といわれる人々。会ってみれば'、がっかりだ。世に偉大なる人とは、人格者あるのみ。
 現今の芸術界に、何人、尊敬すべき人ありや。芸術家は、偏屈で良いのかも知れぬ。だが、何度、足を運ばすのだ、この貴重な時間に。
 帰り、蒲田駅近くの靴屋にゆく。古靴一足購入。社会は矛盾が多すぎる。正しく生き、働いて、物質に恵まれぬ人。働かず、要領よく生きて、物質た事欠かぬ人。様々だ。
 所詮、人生の勝利者とは、物質の獲得者か。つまらん・・・・・・。
自己の境遇を、じつと見るべし。そして、大いなる打開をして、未来の実証となす。これ信仰ではないか。
 青年よ、決して、悲観することなかれ。羨むことなかれ。

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